「ヴィークル」は、米国のロックバンド「アイズ・オブ・マーチ」(The Ides Of March)が、大手レコード会社ワーナー・ブラザースへ移籍後にリリースしヒットを記録した、1970年のシングル。
バンドのリードボーカルであるジム・ピートリック(Jim Peterik)が、当時の彼女の気持ちを取り戻すために創作したとされる楽曲で、その彼女が奥様になられたというドラマティックな背景も持っています。
バンドのリードボーカルでもあるジム・ピートリックが19歳のときにリリースされた作品だというのですから、驚きのクオリティですよね。
YouTubeは文字リンクから検索できます⇒https://www.youtube.com/results?search_query=Vehicle++%2F+The+Ides+Of+March
ジム・ピートリックの大人っぽくてエッジの効いた、エネルギッシュでソウルフルな歌唱。
勢いを十分に感じさせるロックベースでありながら、ジャズやブルース、ソウルやファンク、ラテンといった様々なジャンルのスパイスや黒っぽいノリを感じさせ、キャッチーなメロディとブラスセクションの煌びやかさが散りばめられ、ポップセンスが融合した作品は、今聞いても何の遜色もなく、かっこいいですね。
この「ヴィークル」のマスター音源の14秒間(主にギターソロ辺りとされる部分)がレコーディングスタジオで誤って消去されたため、急遽、別テイクが掘り出され使用されました。
本来、予定されていたソロがどんなものだったかも、ちょっと気になりますね(笑)
同年、その曲名をタイトルにしたアルバム「ヴィークル」もリリース。
シングルのヒットをきっかけに急ピッチで制作されたアルバムの収録曲の大半は、一週間ほどでレコーディングされたと言われています。
ブレイクの勢いを拡げ、確実なものにしようとするメーカーやヒットアーティストの宿命とも言えますが、それに応じられる楽曲のストックとプレイスキルがあってこそ成し得るスケジュールですね。
↑アルバム「ヴィークル」
尚、「アイズ・オブ・マーチ」(The Ides Of March)というバンド名は、シェイクスピアの演劇「ジュリアス・シーザー」から付けられたと言われています。
「ジュリアス・シーザー」とは、ローマの将軍であり政治家でもあったガイウス・ユリウス・カエサル(Gaius Julius Caesar)を英語読みした称号。
カエサル(シーザー)は、占術師に「Beware the ides of March」(3月15日には気をつけなさい)と言われ、実際にカシウスや自分の腹心であったブルータスらによって、その日に暗殺されてしまいました。
「ブルータス、お前もか!」という台詞をご存知な人も多いのではないでしょうか。
(このカエサルの最期に放ったとされる有名な台詞は、実際には発していないとも言われるなど諸説あります。)
このことから、このフレーズや3月15日という日は、裏切りなどに対しての啓発的文言として使われたり、不吉なものや呪術的なものになぞらえられるものになりました。
紹介の曲「ヴィークル」は、
シルヴェスター・スタローン主演の映画「ロックアップ」ほか、
2006年の映画「テキサス・チェーンソー・ビギニング」(原題:The Texas Chainsaw Massacre ~The Beginning)
2009年の映画「迷ディーラー!?ピンチの後にチャンスなし」(原題:The Goods: Live Hard, Sell Hard)
伝説の爆笑コメディー「ジム・キャリーはMr.ダマー」の続編となる、2014年の映画「帰ってきたMr.ダマー バカMAX!」(原題:Dumb and Dumber To)
2016年映画「プリベンジ」
など、映画や番組にも使用されています。
【その他の主なカバーアーティスト】順不同
- ジム・ピートリックズ・ライフフォース (Jim Peterik’s Lifeforce)[Self-Cover]
- ウェス・アンド・ザ・エアデイルズ (Wess & The Airedales)
- シークレット・ライフ (Secret Life)
- チェット・ベイカー(Chet Baker)
- ブルース・マーシャル(Bruce Marshall)
- ラルフ・ソウル・ジャクソン (Ralph ‘Soul’ Jackson)
- タイリー・グレン・ジュニア (Tyree Glenn Jr.)
- アルマ・プーラ (Alma Pura)
- アグスティン・ラミレス (Augustine Ramirez )
- シャーリー・バッシー (Shirley Bassey)
- ジョー・リン・ターナー(Joe Lynn Turner)
- アダム・ウェスト (Adam West)
- カルロス・ビッソ (Carlos Bisso)
- ボー・バイス (Bo Bice)
- スージー・ハンセン (Susie Hansen)・・・ほか