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ハード・タイムズ (ノー・ワン・ノウズ・ベター・ザン・アイ) / レイ・チャールズ | Hard Times (No One Knows Better Than I)/Ray Charles

「ハード・タイムズ(ノー・ワン・ノウズ・ベター・ザン・アイ)」は、レイ・チャールズが1961年にリリースしたコンピレーションアルバム「ブルースを歌う」(The Genius Sings the Blues)に収録された、ブルージーなバラードナンバー。
シングルもリリースされました。

YouTubehttps://www.youtube.com/results?search_query=Hard+Times+Ray+Charles

「神様、俺の苦しみを理解してくれる奴はいるのか?」という心情を歌っている楽曲で、それぞれの人生の悲哀を曲に重ねることが出来ますが、レイ・チャールズの、幼少期に失明を負いながら生きてきた想像を絶する苦しみに加え、黒色人種の置かれた立場や歴史を慮ると、感情も一入、どんどん高まるエモーションに胸が熱くなります。

〜〈歌詞要訳〉
生前、母は言ってた。
私が死んでも、神を信じ祈ることは止めるな、人生にはすごく辛い時があるからと。
私は身に染みてるんだよと。
そして、その言葉の意味を、俺はすぐに知ることになった。
俺には愛する人がいて、いつも一緒だった。
でも、俺が貧しくなると、彼女は俺を捨てた。
そのとき、知ったんだ。人生の辛さというものを。
おぉ神よ、いつかこの命が尽きた時、この悲しみは消えるのだろう 〜

「ハード・タイムズ(ノー・ワン・ノウズ・ベター・ザン・アイ)」が収録されたアルバム「ブルースを歌う」は、レイ・チャールズの初期のブルース色の濃い作品を集めたコンピレーションアルバムで、レイ・チャールズの歌唱フィーリングからは、黒色人種の強いエモーションや、現代音楽にまで通ずるブラックテイストのルーツを感じることができます。

レイ・チャールズ/「ブルースを歌う」
レイ・チャールズ
アルバム「ブルースを歌う」

現代音楽の歴史は古く、一言では語れないものですが、アメリカ南部の黒色人種の精神的指向の強い本格的ブルースが、欧州の規律のあるクラシックのような音楽との融合を果たし、ジャズやR&B、ロックなどへと発展を遂げ、今現在の皆さんが創作し続けている現代音楽にまで繋がっています。
このどちらが欠けても、現在のような音楽スタイルは確立し得ないのですが、滑稽に描写され作られた、1900年代半ばまでの黒色人種のレコードジャケットを観ても分かるように、やはり音楽の上でも彼らは正当に評価されてきたとは言えず、様々な差別を受けていたのは間違いありません。
レイ・チャールズは、そんな黒色人種のフィーリングや音楽をポップススタンダードへ浸透させ、かっこいいものとして、世間一般に広く認めさせた1人。
スキルの高さも別格で、ピッチや表現力はもちろんですが、太くエッジの聞いた声の質の高さ、他を圧倒するエモーションの強さ深さなど、現代までに通ずるR&Bやロックアーティストの、お手本となるものばかりです。
エアロスミスのボーカル”スティーヴン・タイラー”の「レイ・チャールズに影響を受けていないアーティストなんていない」という言葉にも現れているでしょう。

アルバムの邦題は「ブルースを歌う」となっていますが、原題「The Genius Sings the Blues」を直訳すると、「天才がブルースを歌う」となります。
日本では、ひけらかさない、控えめな邦題に置き換えられているのですが、このタイトルが物語るように、若くして、既に、一目置かれた存在であったことが分かりますね。

レイ・チャールズ/「ブルースを歌う」
レイ・チャールズ
アルバム「ブルースを歌う」
(The Genius Sing the Blues)

ちなみに、秀でた才能を物語るように、このアルバム発売以前の1959年に「The Genius of Ray Charles」というタイトルもリリースされています。

レイチャールズ
アルバム「The Genius Of Ray Charles」

天才と称えられたレイ・チャールズと、日本人アーティストとの歌唱の違いなどを感じてみましょう。
レイ・チャールズの作品は数多くリリースされていますが、以下は、個人的におすすめのコンピレーションです。

レイ・チャールズ
「The Complete Swing Time & Atlantic
Recording 1948-1959」

↑アトランティック時代の1948年から1959年までの初期音源にボーナストラックを加えた、レイ・チャールズ初期作品集 7枚組CD BOXセット

レイ・チャールズ
50th アニバーサリー コレクション
「Genius & Soul The 50th Anniversary Collection」

↑レイ・チャールズの主要作品の多くが収録されている、おすすめコンピレーション

尚、紹介の曲「ハード・タイムズ(ノー・ワン・ノウズ・ベター・ザン・アイ)」は、

ジェイミー・フォックスの熱演でも話題となった、2004年に公開されたレイ・チャールズの伝記映画「レイ」ほか、

デンゼル・ワシントン主演。冤罪によって投獄、終身刑を言い渡された天才ボクサーの苦悩を描いた実話。名作映画「ザ・ハリケーン」にも使用されています。

【その他の主なカバーアーティスト】順不同

  • エリック・クラプトン (Eric Clapton)
  • アレサ・フランクリン (Aretha Franklin)
  • ジム・ディッキンソン (James Luther Dickinson)
  • ポール・キャラック (Paul Carrack)
  • デヴィッド・ファットヘッド・ニューマン (David “Fathead” Newman)
  • デイヴィッド・サンボーン (David Sanborn)
  • クルセイダーズ (The Crusaders)・・・ほか
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この記事を書いた人

歌手輩出実績多数 / 初心者大歓迎 /
全国オンラインレッスン対応 /
ボイストレーニングスクールのトップノート

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