今回紹介するのは、フランスの女性歌手、エディット・ピアフの名曲「愛の讃歌」(原題 : Hymne à l’amour)。
1950年にリリースされた楽曲で、母国フランス語でのシングル「Hymne à l’amour」、および英語バージョンの「Hymn to Love」が同年にリリースされました。
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英訳バージョン「Hymn to Love」の対訳を担ったのは、エディット・ピアフに可愛がられた、米国生まれの俳優エディ・コンスタンティーヌ(Eddie Constantine)。
翌1951年のピアフ主演のミュージカル「ラ・プティット・リリィ」(原題:La p’tite Lili=[意味]Little Lili)では共演も果たし、またピアフの1956年のアルバム「La Vie en Rose~Édith Piaf Sings In English」では「’Cause I Love You」(仏題:Du matin jusqu’au soir)や「Don’t Cry 」(仏題:C’est d’la faute à tes yeux)などの楽曲の対訳も手掛けています。
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英語バージョンは、その他に、1954年にイギリスの作詞家 ジェフリー・パーソンズ(Geoffrey Parsons)によって訳された「If You Love Me (Really Love Me)」があり、アメリカのジャズポップシンガー”ケイ・スター”(Key Starr)によってリリースされヒット。
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日本でも、元宝塚のトップスターであった越路吹雪(koshiji Fubuki)さんが、邦題「愛の讃歌」として1954年にシングルをリリースしました。
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尚、フランス語による原作の作詞はピアフ本人によるもので、マルグリット・モノーにより作曲されています。
愛するものの為に身を尽くし、愛情に生きる熱い想いが描写されている本作は、恋人を墜落事故で亡くしたという実体験、悲劇的なピアフ自身の生涯にも重ねられることから精神性の高い作品となっており、多くのアーティストから共感されカヴァーされています。
エディット・ピアフ Hymne à l’amour ~要訳~
青い空が崩れ落ち
この大地が破れたとしても
あなたに愛されてさえいれば私は平気
貴方との愛が溢れる朝
私の身体があなたの腕の中で震える限り
全てどうでもいいの
あなたが私を愛していてくれるなら
あなたとならば世界の果てまで行ってもいいし
あなたが望むなら、髪をブロンドにしてもいい
月の欠片だって拾いに行くし、財宝だって盗むし
あなたが望むなら自分の国も友達も捨てるわ
人はそんな私を笑うでしょうけどね
あなたの為なら恐れるものはないの、何だってする
もし人生が私達を引き裂き、私からあなたを奪ってしまっても
もし突然、あなたが死んでしまっても
私はあなたの愛があれば大丈夫よ
私もあなたの元へと旅立つわ
そして私達は永遠を手に入れるの
だって私達は愛し合っているでしょ?
神様は、愛し合う者同士を結びつけてくださるのだから
フランスの国民的大スターとなり、世界的にも有名になったエディット・ピアフ。本名エディット・ジョヴァンナ・ガッション(Édith Giovanna Gassion)。
フランス人女性において、初めてアメリカで成功した歌手とも言われています。
しかし、その成功の裏にある波乱に満ちた47年という短い人生。
ピアフの歌唱には自らの過酷な生い立ちや人生の境遇が反映され、今もなお聴き手を惹き付けると考えられます。
大スターだけにピアフには実際よりも膨らんだ話も多く、真偽不明なことも多いようですが、紹介の作品を理解する上でも、おおよそ確実と思われることだけ、以下に少し紹介するとしましょう。
ピアフはキャバレーやストリートで活動する歌手であった母親の元に生まれてすぐに捨てられ、母方の祖母の元へ預けられるものの、早々に大道芸人であった父方の母のもとへと引き渡され、その祖母が経営していた売春宿で育てられながら、パリの場末の街を父に連れられ渡り歩き、自らも歌い貧しい暮らしを6歳から支え送っていたといわれています。
そんな暮らしの中、17歳で子供を出産、しかし、2歳で我が子を亡くしてしまいます。
同年の秋、ピアフの路上での歌唱をパリのナイトクラブ ”ル・ジャーニー” のオーナーである”ルイ・ルプレ”に見いだされ、活動の場をクラブに移すと人気となり、翌年、20歳にモーム・ピアフとしてメジャーデビュー。
ナイトクラブでは、オーナーの”ルイ・ルプレ”に、その細くて小さな身体から「ラ・モーム・ピアフ」(小さな雀)という芸名を与えられ、それがエディット・ピアフという名前のルーツになったといわれています。
しかし、そんな喜ばしいデビューの年に”ルイ・ルプレ”が殺害され、ピアフは殺人容疑をかけられてしまいます。
様々な容疑者との関連からピアフにも疑いの目が向けられたとされていますが、この事件の犯人は未だに捕まっておらず未解決のままです。
その後、ピアフは歌手にとどまらず映画出演など活動の幅を拡げ、1940年代に入ると歌手としても女優としてもまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せ、母国フランスのみならずアメリカなど様々な国で活躍していきます。
しかし、1949年に不倫の恋仲であった、当時世界ミドル級チャンピオンのフランス人ボクサー”マルセル・セルダン”がピアフの元へと向かう際の飛行機事故で急逝。
この事故直後の1950年に録音リリースされた「愛の讃歌」は、セルダンの急逝の少し前に制作されていた歌詞でありながらも、愛しきセルダンへの想い綴った歌詞であることは言うまでもなく、奇しくも、本当にあの世へ逝ってしまった愛しき人を想いリリースする作品となってしまいました。
このような背景と深い悲しみが込められたピアフの「愛の讃歌」は、多くの聴く人の心を打ち、名曲、名作として一層輝いてしまったとも考えられます。
「愛の讃歌」リリースの翌年1951年になると、ピアフは複数の交通事故に巻き込まれるなど、またモルヒネやアルコールの乱用から依存症となるなど、心身を患っていきます・・・。
尚、ピアフの生い立ち、境遇などについてはエディット・ピアフの生涯を描いた映画「エディット・ピアフ ~愛の讃歌~」(原題:La Môme)[2007年制作]、また、1974年制作の映画「愛の讃歌 エディット・ピアフの生涯」にも描かれていますので、興味がある方は、ぜひご視聴ください。
↑映画「エディット・ピアフ ~愛の讃歌~」
映画「愛の讃歌 エディット・ピアフの生涯」
紹介の曲「愛の讃歌」は、その他にも、
ピアフも出演している1951年のフランス映画「Paris chante toujours!」
1958年のフランス映画「恋に生きた女ピアフ」(原題:Édith et Marcel)
フランスの名優、M・セロー演じる偏屈な老人と孤独な少女のヒューマンドラマ「パピヨンの贈りもの」(原題:Le papillon)
20世紀を代表する思想家ジョルジュ・バタイユの遺作をイザベル・ユペール主演で映画化「ジョルジュ・バタイユ ママン」(原題:Ma mère)
アカデミー賞6部門ノミネート。全世界で24もの映画賞を受賞した作品「127時間」
前田敦子主演、染谷将太、柄本時生、加瀬亮ら豪華キャスト共演作品「旅のおわり世界のはじまり」
【その他の主なカバーアーティスト】順不同
- ケイ・スター (Kay Starr)
- シンディ・ローパー (Cyndi Lauper)
- メリー・ホプキン (Mary Hopkin)
- カトリーヌ・リベイロ (Catherine Ribeiro)
- ブレンダ・リー (Brenda Lee)
- パトリシア・カース (Patricia Kaas)
- アーサー・キット (Eartha Kitt)
- コリー・ハート (Corey Hart)
- ビング・クロスビー (Bing Crosby)
- ポール・アンカ (Paul Anka)
- ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ (Harold Melvin & the Blue Notes)
- フリーダ・ペイン (Freda Payne)
- エスター・フィリップス (Esther Phillips)
- クリスティン・アンドレアス (Christine Andreas)
- カテリーナ・ヴァレンテ (Caterina Valente)
- ラヴァーン・ベイカー (LaVern Baker)
- カーメン・キャバレロ (Carmen Cavallaro)
- ヘレン・フォレスト (Helen Forrest)
- ジョシュ・グローバン (josh groban)
- クレモンティーヌ (Clementine)
- シルヴィ・ヴァルタン (Sylvie Vartan)
- ジョニー・アリディ (Johnny Hallyday)
- コニー・ヴァンデンボス (Conny Vandenbos)
- ダニエル・ギシャール (Daniel Guichard)
- アニタ・リンドブム (Anita Lindblom)
- ミルバ (Milva)
- クレア・シュバリエ (Claire Chevalier)
- タイガー・リリーズ (The Tiger Lillies)
- ナナ・ムスクーリ (Nana Mouskouri)
- ロザンナ・フラテッロ (Rosanna Fratello)
- イングリット・カーフェン (Ingrid Caven)
- クローデット・ディオン (Claudette Dion)
- ジャクリーヌ・フランソワ (Jacqueline François)
- リカルド・ウルフ (Rikard Wolff)
- アンジェレ・ドゥランド (Angèle Durand)
- ヘレナ・ベリストローム (Helena Bergström)
- ミレイユ・マチュー (Mireille Mathieu)
- ジョー・ルメール (Jo Lemaire)
- ビビ・フェレイラ (Bibi Ferreira)
- ジュールズ・ホランド&マーク・アーモンド(Jools Holland & Marc Almond)
- キャロライン・オコナー (Caroline O’Connor)
- ジョルジア・フマンティ (Giorgia Fumanti)
- ロス・パンチョス (Los Panchos)
- アタイージ&アレシャンドリ (Ataíde & Alexandre)
- アジウソン・ラモス (Adilson Ramos)
- ドローレス・ドゥラン (Dolores Duran)
- パロマ・サン・バシリオ (Paloma San Basilio)
- ジュリアン・クレール (Julien Clerc)
- アルテマール・デゥトラ (Altemar Dutra)
- アグナルド・ティモテオ (Agnaldo Timóteo)
- ロス・シンコ・ラティーノス (Los Cinco Latinos)
- ウィル・トゥーラ (Will Tura)
- エリス・レジーナ (Elis Regina)
- ロバート・グーレ (Robert Goulet)
- アラン・バリエール (Alain Barrière)
- ダルヴァ・デ・オリヴェリア (Dalva De Oliveira)
- エレイン・ペイジ (Elaine Paige)
- デミス・ルソス (Demis Roussos)
- イベット・ジロー (Yvette Giraud)
- ヴェラ・リン (Vera Lynn)
- アルフレード・クラウス (Alfredo Kraus)
- ドロシー・スクワイアズ (Dorothy Squires)
- P.J.プロビー (P.J. Proby)
- ジョン・ローズ (John Laws)
- ニッキ・パロット (Nicki Parrott)
- シャーリー・ホーン (Shirley Horn)
- ロビン・アーチャー (Robyn Archer)
- ビビ・ニューワース (Bebe Neuwirth)
- フォー・ペニーズ (The Four Pennies)
- バーバラ・ウィンザー (Barbara Windsor)
- ペイビ・パウヌ (Päivi Paunu)
- グラシェラ・スサーナ (Graciela Susana)
- リー・ラベン (Lea Laven)
- エンツォ・ストゥアーティ (Enzo Stuarti)
- キダス・アイ (Kiddus I)
- ガムエックス (GUMX)
- 越路吹雪 (Koshiji Fubuki)
- 美空ひばり (Misora Hibari)
- 美輪明宏 (Miwa Akihiro)
- 玉置浩二 (Tamaki Koji)
- 徳永英明 (Tokunaga Hideaki)
- 岩崎宏美 (Iwasaki Hiromi)
- 本田美奈子 (Honda Minako)
- 綾戸智絵 (Ayado Chie)
- 宇多田ヒカル (Utada Hikaru)
- 大竹しのぶ (Otake Shinobu)
- 斉藤和義 (Saito Kazuyoshi)
- 加藤登紀子 (Kato Tokiko)
- 増田恵子 (Masuda Keiko)
- 岸洋子 (Kishi Yoko)
- 佐良直美 (Sagara Naomi)
- 金子由香利 (Kaneko Yukari)
- 淡谷のり子 (Awaya Noriko)
- あべ静江 (Abe Shizue)
- フランク永井 (Frank Nagai)
- 雪村いづみ (Yukimura Izumi)
- 菅原洋一 (Sugawara Yoichi)
- 伊藤咲子 (Ito Sakiko)
- 鮫島有美子 (Samejima Yumiko)
- 石井好子 (Ishii Yoshiko)
- クミコ (Kumiko)
- 佐々木秀実 (Sasaki Hidemi)
- 秋元順子 (Akimoto Junko)
- 長谷川きよし (Hasegawa Kiyoshi)
- 中村あゆみ (Nakamura Ayumi)
- 小野リサ (Ono Lisa)
- 田村芽実 (Tamura Meimi)
- チャラン・ポ・ランタン (CHARAN-PO-RANTAN)
- ソフィア (SOPHIA)
- ルヒカ (LUHICA)
- T字路s (Tjiros)
- 宝塚歌劇団 (Takarazuka Revue Company)
- ベンチャーズ (The Ventures)
- クロード・チアリ (Claude Ciari)
- ポール・モーリア (Paul Mauriat)
- パトリック・ヌジェ (Patrick Nugier)
- マルセル・アゾーラ (Marcel Azzola)
- エリック・ルラン (Eric Le Lann)
- エディ・カルヴァート (Eddie Calvert)
- エマーブル・プルチャート (Aimable Pluchard)
- トゥーツ・シールマンス (Toots Thielemans)
- アーヴィング・フィールズ・トリオ (Irving Fields Trio)
- マーティン・テイラー (Martin Taylor)
- フランク・プゥルセル (Franck Pourcel)
- ピエール・ポルト (Pierre Porte)
- エミール・プルッドーム (Emile Prud’Homme)
- シーザー・ジョバンニ (Caesar Giovannini)
- ギルバート・ルーセル (Gilbert Roussel)
- フェランテ&タイシャー (Ferrante & Teicher)
- ローランド・ティッセン (Roland Thyssen)
- ジョージ・ファイアー (George Geyer)
- アル・ヴィオラ (Al Viola)
- ファウスト・パペッティ (Fausto Papetti)
- エディ・バークレイ (Eddie Barclay Et Son Orchestre)
- ミシェル・ルグラン (Michel Legrand)
- ステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli Et Son Orchestre)
- ソニー・レスター (Sonny Lester & His Orchestra)
- ゴードン・ジェンキンス (Gordon Jenkins And His Orchestra)
- シャルル・ジョルダン・グランド・オーケストラ (Charles Jourdan And His Grand Orchestra)
- 東京佼成ウインドオーケストラ (Tokyo Kosei Wind Orchestra)
- 東京スカパラダイスオーケストラ (Tokyo Ska Paradise Orchestra)
- 川井郁子 (Kawai Ikuko)
- 古澤巌 (Furusawa Iwao)
- 松浦ヤスノブ (Matsuura Yasunobu)
- 荘村清志 (Shomura Kiyoshi)
- 森本恵夫 (Morimoto Yoshio)
- 児玉マリ (Kodama Mari)
- 江川マスミ (Egawa Masumi)・・・ほか