紹介の曲「マンブルス」は、ジャズトランペッターであるクラーク・テリーが1966年にリリースした作品。
アルバムのタイトルにもなったクラーク・テリーの代表作品のひとつです。
YouTubehttps://www.youtube.com/results?search_query=Mumbles+Clark+Terry
現在では、ジャズの歌唱の特徴の1つにもなっている、スキャット唱法。
「スキャット」は、ルイ・アームストロングが発祥とされるもので、リード楽器の代わりとしてボーカルが楽器のごとく、擬音などを用いて奏でる歌唱法。
クラーク・テリーの本作も、タイトル通りの”マンブルズ=ぶつぶつと呟く”ようなスキャットが、彼の本職トランペットやフレージングのように表現された、個性的な味わい深い作品となっています。
ピックアップしたアレサ・フランクリンのバージョンは、1977年にリリースのアルバム「スイート・パッション」(邦題 : 甘い情熱)に収録された楽曲。
アルバム「スイート・パッション」(邦題 : 甘い情熱)2024年現在では残念ながら、まだCD化や配信されていない名盤。現存するLPのみ入手することができます。
YouTubehttps://www.youtube.com/results?search_query=Mumbles+Aretha+Franklin
本アルバムのプロデュースを手掛けたのはスプリームスも手掛けた敏腕プロデューサー、ラモント・ドジャー。
アレサ・フランクリンの「マンブルス」のイントロは、このサイトでもすでに紹介済みのキキ・ディー・バンド(THE KIKI DEE BAND)が同時期にヒットさせたロックナンバー「I’ve Got The Music In Me」のサビを使用し、「マンブルス」本編へと繋がるアレンジとなっており、スキャットナンバーのなかにもスタイリッシュさやモダンさも感じられるものとなっています。
当時のヒット曲でロックチューンの「I’ve Got The Music In Me」を何気にジャズテイストの強い本作にも絡めてくるあたり、ラモント・ドジャーのヒット曲への貪欲な嗅覚や遊び心、センスも感じられます。
このアレサ・フランクリンの「マンブルス」が収められたアルバム「スイート・パッション」は、アレサ・フランクリンが1960年代後半にR&Bシンガーとしての成功と不動の地位を築いた、おおよそ10年後の1977年のアルバム。
そのR&Bシンガーとしての地位を獲得する以前に、アレサ・フランクリンがゴスペルシンガーやジャズシンガーとして活躍していた頃のスキルを発揮している、隠れた傑作といえるアルバムです。
ゴスペルで培った、力強くスケールの大きな歌唱と、ジャズの特徴の1つでもあるインプロヴィゼーション(アドリブ)を多用し、声を楽器として巧みに操るスキャットなど、ボーカリストとしてのスキルの高さを十分に感じさせてくれる作品になっています。
結果、こういったデジタル化されていないアルバムをはじめ、ジャズアルバムなどのビンテージものはレコードプレーヤーで聞くことになるのですが、不思議とテクノロジーが進んだ今の音源、デジタルなものよりも、すごく自然で心地良いものです。
とくに、ジャズアルバムや年代物の音源をレコードで聞くと、当時、聞かれていたときの音を再現できますから、その時代の空気までを聴くような醍醐味が味わえます。
プレイヤー、スピーカー・アンプなどもこだわって聴いてみるのも面白いと思います。
【その他の主なカバーアーティスト】順不同
- クラーク・テリー (Clark Terry) [Original]