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アイ・ニード・トゥ・ビー・イン・ラヴ(邦題:青春の輝き)/カーペンターズ | I Need To Be In Love/CARPENTERS

歴史上、現在に至るまで活躍されたアーティストは沢山おられますが、アーティストご自身がこの世を去り、時代が流れてもなお、人々に愛され続ける作品を残せるアーティストは、そう多くありません。

今回紹介する、カーペンターズのリードボーカルであるカレン・カーペンターは32歳という若さで亡くなってしまいましたが、兄妹のポップスデュオとしての希少性もさることながら、多くのヒットを量産し名曲を残したカーペンターズは、まさしく、この先も後世にまで歌い継がれる、そんなアーティストの一組だと言えるでしょう。

メンバーである兄のリチャード・カーペンターの才覚によって、細部まで計算され作り込まれた作品でありながらも、あえてプロフェッショナルとしての拘りや難しさを感じさせることのない、誰もがすぐに口ずさめるポップさとキャッチーさを持った楽曲。
大人っぽく、人々の心を包み込むような暖かい歌唱で聴き手を一瞬で惹き込む、高い歌唱技術を持った妹のカレン・カーペンター。
そんな2人の才能が織り成すカーペンターズの作品は、老若男女を問わず幅広く愛され、国境や時代を超えて歌われる作品となっています。

今回ピックアップした 「アイ・ニード・トゥ・ビー・イン・ラヴ」(邦題:青春の輝き) は、そんなカーペンターズが1976年にリリースした楽曲で、同年リリースのアルバム「a kind of hush」から先行シングル第2弾としてリリースされた作品です。

YouTube動画は文字リンクから検索できます⇒https://www.youtube.com/results?search_query=I+Need+To+Be+In+Love%2FCARPENTERS

本作は、兄のリチャード・カーペンターに加え、リチャードと同い年で大学時代にはカーペンター兄妹とともにバンドを組んだ仲でもあり、紹介曲のほかにも「イエスタデイ・ワンスモア」や「グッバイ・トゥ・ラヴ」「オンリー・イエスタデイ」「トップ・オブ・ザ・ワールド」「ウェディングソング」などの作品にも寄与したジョン・ベティス(John Bettis)。
また、自身も歌手として「カリフォルニアの青い空」(原題:It Never Rains In Southern California)をヒットさせたことでも知られ、ティナ・ターナーやレオ・セイヤー、ホイットニー・ヒューストン、セリーヌ・ディオン、ダイアナ・ロスなど、現在までに多くのアーティストの作品を手掛けるアルバート・ハモンド(Albert Hammond)によって制作されています。

↑ アルバム「a kind of hush」 (邦題:見つめあう恋)

歌詞では、夢や理想の愛を求め、世界は自分の思うようになるとさえ感じられた若き日の自分と、今の自分の気持ちが歌われており、表面的には、若い頃の想いを持ち続けることや信じ続けることの難しさとともに、若い頃の自分の恋は未熟だった、今はそう思えるという後悔の念と解釈できる歌になっているのですが、真意はもう少し深い所にありそうです。

歌詞のサビ部では、もっと恋をするべきだったとは言うものの、上っ面に聞こえるのは僕だけでしょうか。

今では若い頃の恋や考え方が少し浅はかだったことも分かる、今やるべきことも分かっている、周りにはこんな自分の姿が滑稽に見えていることだってわかっている。
だけど、”自分の心はまだ愛や夢を信じようとしている”という深層心理こそが、この曲の主人公の真意のような気がします。

若き日の不器用で世間知らずだった自分自身を見つめ語るようなAメロから、サビでは大人になった自分の思い、”そんなものよ、私ってバカよね”というような少しの諦めや切なさ、やるせなさを含みながらも、そんな気持ちに抗い今もどこかで信じる気持ち、自分の信じる愛や夢、希望に向かう気持ちが感じ取れるのです。

日本では「アイ・ニード・トゥ・ビー・イン・ラヴ」(邦題:青春の輝き)は、1995年に野島伸司さんが脚本を手掛けたドラマ「未成年」の主題歌となったことでシングルが再リリースされリバイバルヒットをもたらし、ベストアルバムなどのコンピレーションアルバムもリリースされました。カーペンターズの作品が今なお日本で愛され、人気である要因の一つになったと言えるかもしれません。
楽曲が使用されたドラマ「未成年」は、いしだ壱成さん主演のドラマで、知的障害者を演じた香取慎吾さんほか、反町隆史さんや浜崎あゆみさんなどが出演。

↑ドラマ「未成年」


近親相姦や生徒と教師との禁断の愛を描写した、桜井幸子さんと真田広之さん主演のドラマ「高校教師」。
いじめや体罰、同性愛などを描いた、赤井英和さんやデビュー前のキンキキッズの堂本剛さんと堂本光一さんが出演したことでも知られるドラマ「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」など、当時、共に問題作として話題となった野島伸司さんによる脚本作品ということで注目されました。

↑ドラマ「高校教師」

↑ドラマ「 人間・失格~たとえばぼくが死んだら 」

これらドラマでも描写されている、若き日に抱く夢や希望といった理想と現実。
幼き頃の不器用でありながらも勇敢で真っすぐな想いは、やがて成長し外の世界へと飛び出すと、自分よりも有能な者にはもちろん、自分とは異質の考えを持つ者や、自分を陥れる悪意を持った者にも遭遇し、人間の持つ本質や愚かさ醜さを知らしめられ、望まざる境遇を招くことも。

昔のコラムにも書いたように思うのですが、幼き頃、若い頃というのは、そういった災難や絶体絶命のようなときにも周りが守ってくれる時期でもあり、未だ人生の大きな失敗も無く、挫折や理不尽さというものにも深く傷つけられることも苛まされることもない、いわば恐れ知らずの完全体と例えられます。
誰しもがそのままで成長できれば良いのですが、長い人生、皆どこかで挫折や理不尽さを経験し、それを自らが乗り越えるべく苦悩し、様々な経験から相手の痛みや悲しみも分かるような人間へと成長します。
挫折や理不尽さや大きな悲しみなどは、いずれは皆が経験することだと考えれば、まだ、それらに打ちのめされていない時期は、言わば不完全だとも言えます。
だから、若い頃というのは完全なる不完全なのです。

そんな恐れるものなど何も無く愛や夢を叫べた、不完全であるが故の完全と呼べる、輝かしくも若く青い時期。
夢にも希望にも満ちているからこそ、現実との狭間で苦悩する若い頃というのは、その時期を過ぎ去った自分や大人から見れば、どれもこれも輝かしき日々だったと言えるのではないでしょうか。
邦題が「青春の輝き」となった意味が理解できる気がしますね。

この曲は、大人になり色んなことを理解した今、自分自身の気持ちが信じられなくなるときもある。だけど、若かった頃と全く同じではないものの、今も若き日の真っすぐな思いや愛を抱いているという自分の心の深部を再認識している歌であり、大人になるにつれ忘れていく若く輝いていた頃の純粋な心や愛を思い出させ、聴き手をくすぐる歌となっているのです。

若かったと後悔した歌や、好きだよとストレートに相手に思いの丈をぶつけるような、若く単純なラブソングではありませんね。
相手に愛を語りかけてこそいませんが、若かりし日から現在までの想いや時間の経過、自分の弱さから精神性の高まり、融通の利かない深部の感情まで感じさせる、とても一途な想いが伝わる、変種のラブソングだともいえるでしょう。

実際の経験のように描写された歌詞は聴き手にリアリティさを持たせ、ワードセンスはシンプルな歌詞でありながら、なかなか深い心理が描写された傑作です。
それをまとめあげるカレンの歌唱力も勿論ですが、製作陣は当時30歳くらいなわけですが、このような若くして達観した心理と、しかも異性視点の心理で描写するジョン・ベティスの詩の能力、それを高める簡潔にも完成されたリチャードの曲の創造力や世界観からは、やはり並外れた才能を感じますね。

【その他の主なカバーアーティスト】順不同

  • ジム・ブリックマン (Jim Brickman)
  • ローラ・フィジィ (Laura Fygi)
  • ダミ・イム (Dami Im)
  • シッティ (Sitti)
  • 鬼束 ちひろ (Onitsuka Chihiro)
  • 平原綾香 (Hirahara Ayaka)
  • 井手麻理子 (Ide Mariko)
  • 水雲 (MIZMO)
  • ヌーン (noon)
  • 小泉ニロ (Koizumi Nilo)
  • ミュークリップス(Miu-Clips)
  • 高嶋ちさ子 (Takashima Chisako)
  • 近藤嘉宏 (Kondo Yoshihiro)
  • 高木綾子 (Takagi Ayako)
  • 上松美香 & 平澤 仁 ( Agematsu Mika&Hirasawa Jin )
  • ウインタープレイ (Winterplay)
  • 五十嵐はるみ (Igarashi Harumi)
  • わたなべゆう (Watanabe Yuu)
  • 和泉宏隆トリオ (Izumi Hirotaka Trio)
  • リエ フゥ (Rie fu)
  • マルセラ (MARCELLA)
  • 茨城智博&山下康介 (Ibaraki Tomohiro&Yamashita Kosuke)・・・ほか
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この記事を書いた人

初心者大歓迎。プロ輩出実績多数。
ボイストレーニングスクールのトップノートです。

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