紹介の曲「ビューティ・アンド・ザ・ビースト」 (邦題:美女と野獣)は、1991年に公開されたディズニーアニメ映画「Beauty and the Beast」(邦題:美女と野獣)の為に作られた楽曲。
現在までに映画や舞台でリメイクされるなど、様々なアーティストに歌われています。
作詞家ハワード・アッシュマン(Howard Ashman)と作曲家アラン・メンケン(Alan Menken)によって書かれた作品で、1991年のオリジナルでは劇中のキャラクターであるポット夫人(声:アンジェラ・ランズベリー)によって歌われ、1991年版のサウンドトラックにも収録されました。
また、映画の主題歌及びPRバージョンとしてセリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンによるデュエットバージョンが制作され、映画のエンドロールで使用されたほか、同サウンドトラックに収録されシングルもリリースされました。
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セリーヌ・ディオンは今では誰もが知るであろう実力もセールスも兼ね備える世界屈指の女性シンガーの一人ですが、「ビューティ・アンド・ザ・ビースト」 (邦題:美女と野獣)リリース当時は、1990年の米国および世界デビューから間もない新人であったため、デュエットシンガーとしての実績もあり著名なピーボ・ブライソンがパートナーとして起用されたとされています。
尚、この1991年版のシングルリリースにあたっては、マライア・キャリーの作品で手腕を振るったことでも知られる名作曲家ウォルター・アファナシエフがシングルプロデュースを担当。
紹介の曲「ビューティ・アンド・ザ・ビースト」(邦題:美女と野獣)は、ゴールデン・グローブ賞の「最優秀オリジナルソング賞」ほか、グラミーアワードの「最優秀ポップパフォーマンス賞(デュオ・グループ)」などを受賞しました。
ここでピックアップしたものは、2017年に「Beauty and the Beast」(邦題:美女と野獣)が実写映画としてリメイクされた際の主題歌/PRバージョンとして、アリアナ・グランデとジョン・レジェンドによってデュエットされたバージョン。
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ディズニー映画「美女と野獣」(実写版)
2017年の作品では、劇中のポット夫人を担当したエマ・トンプソンによって歌われ、アリアナ・グランデとジョン・レジェンドのデュエットバージョンとともに、2017年版サウンドトラックに収録されました。
アリアナ・グランデとジョン・レジェンドのデュエットバージョンもシングルリリースされており、シングルプロデュースは多くのヒット曲と名シンガーを発掘したことでも有名なデヴィッド・フォスターとロン・フェアーが担当しています。(尚、予告編[Trailer]で聴けるオーケストラアレンジのものはサントラやシングルとは別テイクと思われますが、2022.9現在までのリリース情報は確認できません。)
1991年からの馴染みのあるテーマ曲であり、セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンによるデュエットバージョンから親しまれている人にとっては楽曲そのものの新鮮さは感じられないかもしれませんが、アリアナ・グランデとジョン・レジェンドのデュエットも、なかなかの組み合わせ。
アリアナ・グランデの少しのキュートさを持った温かくて枯れ味のあるセクシーな歌声と、ジョン・レジェンドの柔らかくも伸びやかで安定感ある歌唱のデュエットは、フォーマルさが強調されず堅苦しさもなく、程よいテクニカルさと今っぽいポップさを兼ね備えた、ディズニーの世界観を盛り上げる素晴らしい作品に仕上がっています。
デュエットというのはソロワークでは要求されないコーラスワークやハーモニー、協調性といった高いボーカル能力が別途必要とされるため、ボーカルの力量が試されスキルアップにも繋がります。
パートナーの組み合わせでも作品の印象が変わる面白い作品であり、実際に歌うととても楽しい作品ですので、デュエットできる機会があれば、皆さんもぜひ挑戦してみてください。
尚、日本語吹替版では、ポット夫人は岩崎宏美さん、美女ベル役に昆夏美(こんなつみ)さん、野獣役を山崎育三郎さんが担当しており、岩崎宏美さんの唄う「美女と野獣」、及び、昆夏美さんと山崎育三郎さんお二人が唄う日本版デュエットも日本語版のサントラには収録されており、共に配信リリースもされています。
[ここにも注目]
紹介の曲はデュエットならではの、女性パートから男性パート、男性パートから女性パートといった進行の際での転調の活用がみられます。
作曲者であるメンケン&アッシュマンのデモ音源時において、既に全音上げの転調が明らかになっており、劇中のポット夫人担当のアンジェラ・ランズベリー(1991年版)やエマ・トンプソン(2017年版)のソロ作品では、そのとおり各々の基調から進み、後半に全音上げというアレンジを伺うことができます。
男女のデュエットとなっても後半の全音上げというアレンジは保たれたままですが、さらに男女のデュエットとして難題となるキーの違いを解消し、それぞれのおいしい音域で歌ってもらうための転調が上手く活用されており、ぜひその仕事ぶりにも注目していただきたいところです。
[主要なバージョンの歌唱キー設定]
・アンジェラ・ランズベリー[1991 Original] / Key=C#→Eb
・セリーヌ・ディオン&ピーボ・ブライソン [1991 Original](Key : Celine Dion=F→G | Peabo Bryson=D→E)[実際の曲中での基調の動きはF→D→G→E]
・エマ・トンプソン[2017 Original] / Key=Eb→F
・アリアナ・グランデ&ジョン・レジェンド[2017 Original] (Key: Ariana Grande=E→F# | John Legend=C#→Eb)[実際の曲中での基調の動きはE→C#→F#→Eb]
・メンケン&アッシュマン [Self Cover (Demo)/2001 Sound track Special Edition]Key=G(work:創作部) and F→G(Demo)
・昆夏美&山崎育三郎(Key: 昆夏美=E→F# | 山崎育三郎=C#→Eb)[実際の曲中での基調の動きはE→C#→F#→Eb]
尚、「ビューティ・アンド・ザ・ビースト」(邦題:美女と野獣)は、同タイトルのディズニー映画のほかにも、
おとぎの国のプリンセス・ジゼルが魔女に騙され恐ろしい世界へと追放され、たどり着いたのは現代のニューヨークだった。ウォルト・ディズニーが贈るハッピー・ラブストーリー。「魔法にかけられて」(原題:Enchanted)
「非モテ系男子」×「ゴージャス美人」によるアンバランスな恋愛コメディ!
「ある日モテ期がやってきた」(原題:She’s Out of My League)
アーケードゲームの世界に暮らす好奇心旺盛な天才レーサーのヴァネロペと、ゲームの悪役だけど心優しいラルフ。そんなふたりがレースゲーム”シュガー・ラッシュ”の危機を救うためインターネットの世界に飛び込む。ウォルト・ディズニー配給映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」(原題:Ralph Breaks the Internet)など
映画やTV番組にも使用されています。
[物語の原作について]
「Beauty and the Beast」(邦題:美女と野獣)の物語は、ガブリエル=スザンヌ・バルボ・ド・ヴィルヌーヴ(Gabrielle-Suzanne Barbot de Villeneuve)によって書かれ1940年に出版されたヴィルヌーブ夫人からの物語「Contes de Madame de Villeneuve」の中に書かれた「原題:contes marins La Belle et la Bête」 (邦訳:海の物語~美女と野獣)が現在知らている作品のオリジナルとされています。
このヴィルヌーブ夫人のオリジナルのバージョンでは、「La Belle et la Bête」(邦訳:ベル(美女)と野獣)は二部にまたがる長編となっており、呪いが解けたあとも野獣と妖精がさらにベルの知らなかった背景をそれぞれが描写していくものです。
ヴィルヌーヴ夫人の死後にフランスの童話作家であるボーモン夫人(ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン)によって、子供向けに簡潔に編集されたと解釈されるものがリリースされ、現在に至るまでに童話や映画などで知られるストーリーへ派生していったと考えられています。
ボーモン夫人以外にも多くの作家が手を加えながら作品としているため、それぞれ少しの脚色の違いがあることも普通で、今回取り上げたディズニー作品にしか描かれない脚色、切り口もあります。
しかし、おおよそどの作品にも、相手の外見の美しさや富欲に惑わされることなく、内面や心の美しさを見つめられる知性を持つこと、揺るぎない正しさと勇気の重要性、愛はどんな苦難も障害も乗り越えるといったコンセプトやメッセージがみられます。
一般的に、現在の童話やディズニー映画・ミュージカルなどで見られるストーリーのオリジナルとして、前述のヴィルヌーブ夫人やボーモン夫人の作品がとりあげられますが、「Beauty and the Beast」(邦題:美女と野獣)で描かれるようなコンセプトを持ったストーリーや寓話は古代から様々な国で存在することもあり、どこまでをもって、どれをオリジナルとするのかを探るのは難しいと考えられています。
今回紹介の曲「ビューティ・アンド・ザ・ビースト」 (邦題:美女と野獣)の歌詞にも、こういったルーツやストーリー、メッセージが息づいていますね。
【その他の主なカバーアーティスト】順不同
- アンジェラ・ランズベリー (Angela Lansbury)[1991 Original]
- セリーヌ・ディオン&ピーボ・ブライソン (Celine Dion & Peabo Bryson) [1991 Original]
- エマ・トンプソン (Emma Thompson)[2017 Original]
- オードラ・マクドナルド, エマ・トンプソン & アンサンブル (Audra McDonald, Emma Thompson & Ensemble) [2017 Original]
- メンケン&アッシュマン(Menken & Ashman) [Self Cover (Demo)/2001 Sound track Special Edition]
- ジョーダン・スパークス (Jordin Sparks)
- ベス・ファウラー (Beth Fowler)
- クリス・コナー (Chris Connor)
- ペイジ・オハラ (Paige O’Hara)
- ケニー・ロギンス (Kenny Loggins)
- エイチ・アンド・クレア (H & Claire)
- ブラッド・ケリー (Brad Kelley)
- ダイアモンド・リオ (Diamond Rio)
- サラ・オレイン & ピーボ・ブライソン (Sarah Alainn & Peabo Bryson)
- リロイ・サンチェスfeat. ロレア・ターナー (Leroy Sanchez feat. Lorea Turner)
- ソレ・ミオ (SOL3 MIO)
- スティーヴ・タイレル (Steve Tyrell)
- クレモンティーヌ (Clémentine)
- ベベウ・ジルベルト (Bebel Gilberto)
- ジャンプ・ファイブ (Jump5)
- コラブロ (Collabro)
- サバーバン・レジェンズ (Suburban Legends)
- チェス (Chess)
- レネ・フロガー (René Froger)
- ステファニー・オハラ (Stephanie O’Hara)
- スティグ・ロッセン (Stig Rossen)
- ナナ・ムスクーリ & ハリー・ベラフォンテ (Nana Mouskouri & Harry Belafonte)
- マット・ブロイド feat.ジェシカ・サンチェス (Matt Bloyd feat. Jessica Sanchez)
- マージョリー・バーンズ (Marjorie Barnes)
- アンドレ・ヴァン・デュイン (André van Duin)
- パトリシア・パーイ (Patricia Paay)
- モセダデス (Mocedades)
- ミシェル・ニカストロ (Michelle Nicastro)
- マーク・メールスマン (Marc Meersman)
- ジャッキー・チェン&陳淑樺 (Jackie Chan & Sarah Chen)
- ガルー&カミーユ・ルー (Garou & Camille Lou)
- ジェンカルロス・カネラ ft. ポーラ・ロホ (Jencarlos ft. Paula Rojo)
- チラ・キアナ (Chilla Kiana)
- ポプラ (Poplar)
- ディカペラ (DCappella)
- ラ・ディーヴァ[森山良子、平原綾香、新妻聖子、サラ・オレイン] (LA DIVA)
- キュー・インディヴィ&及川リン (Q;indivi Starring Rin Oikawa)
- 手嶌葵 (Teshima Aoi)
- 平井大 (Hirai Dai)
- 阿川泰子 (Agawa Yasuko)
- 岩崎宏美 (Iwasaki Hiromi)
- 米良美一 (Mera Yoshikazu)
- メイ・ジェイ with クリス・ハート(May J. with Chris Hart)
- クロス・ヴェイン (Cross Vein)
- 昆夏美&山崎育三郎 (Yamazaki Ikusaburo & Kon Natsumi)
- 錦織健 & 島田歌穂 (Nishikiori Ken & Shimada Kaho)
- 西島隆弘&宇野実彩子 (Nishijima Takahiro & Uno Misako)
- 水谷千重子&倉たけし (Mizutani Chieko & Kura Takeshi)
- ミラクル・ベル・マジック&村上佳佑 (Miracle Vell Magic & Murakami Keisuke)
- 宝塚歌劇団 (Takarazuka Revue Company)
- 劇団四季 (Gekidan Shiki)
- アトリエ・ボッサ・コンシャス (Atelier Bossa-Conscious)
- まふまふ、天月、96猫、そらる、うらたぬき&となりの坂田 (mafumafu, amatsuki, Kuroneko, soraru, uratanuki&tonari no sakata)
- より子 (YORICO)
- エリアンナ (Eliana)
- うすいなおこ & エコモマイ(Usui Naoko & E KOMO MAI)
- ワールド・スケッチ(World Sketch)
- ミスター・ミュージック (MR MUSIC)
- レイ・コニフ (Ray Conniff)
- ロジャー・ウィリアムズ (Roger Williams)
- デイヴィッド・ギャレット (David Garrett)
- カール・ドイ (Carl Doy)
- ジョン・ディ・マルティーノ・ロマンティック・ジャズ・トリオ (John Di Martino Romantic Jazz Trio)
- ザ・ジャズ・ネットワークス (The Jazz Networks)
- ザック・ワイルド (Zakk Wylde)
- ジャック・ジェズロ (Jack Jezzro)
- デヴィッド・プランプトン (David Plumpton)
- ジョン・ウィリアムズ(John Williams)
- エイミール・パンドルフィ (Emile Pandolfi)
- ポール・モーリア (Paul Mauriat)
- ジェームズ・ゴールウェイ (James Galway)
- ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 (Royal Philharmonic Orchestra)
- エリック・カンゼル・シンシナティ・ポップス・オーケストラ(Erich Kunzel, Cincinnati Pops Orchestra)
- ゲオルゲ・ザンフィル (Gheorghe Zamfir)
- 高嶋ちさ子 (Takashima Chisako)
- 清塚信也 (Kiyozuka Shinya)
- 中塚武 (Nakatsuka Takeshi)
- 木原 健太郎 (Kihara Kentaro)
- 加羽沢美濃 (Kabasawa Mino)
- 桑原あい (Kuwabara Ai)
- クリヤ・マコト・トリオ (Kuriya Makoto Trio)
- ジェイク・シマブクロ (Jake Shimabukuro)・・・ほか