「ファイア」は、プロボクサーとしての経歴も持ち、ブルースの名曲を数多く生んだことでも有名なウィリー・ディクソン(Willie Dixon)によって書かれ、1967年にココ・テイラー(Ko Ko Taylor)によって発表された楽曲。
作者ウィリー・ディクソンと、サックスプレーヤーのミルトン・ブランド(Milton Bland)ことモンク・ヒギンズによってアレンジ、プロデュースされました。
翌年には、エタ・ジェイムズがシングル「You Got It」のカップリングとしてリリース。
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両者共に、チェスレコードの子会社である、チェッカーレコード(CHECKER Records)、及び、カデットレコード(CADET Records)から、ほぼ同時期にリリースされていますが、ピックアップしたエタ・ジェイムズのバージョンのアレンジ・プロデュースは、多くの名作を生み出したリック・ホール(Rick Hall)が手掛け、その才能と手腕を見せつける作品となっています。
アルバム「テル・ママ」(マッスル・ショールズ・セッションズ)
ココ・テイラーのバージョンに比べると、bpmを抑えながらも8ビートや16ビート感が強調され、スピードとヘヴィさを増したサウンドとなっており、派手やかでキャッチーなブラスセクションのカウンターメロディに、ファンキーなエレキギターやエレピなども加わり、楽曲をソウルフルでダンサブルなアレンジへと変貌させています。
もちろん、エタ・ジェイムズの歌唱も、まさしく炎のごとくエモーショナルでグルーヴも最高です。
自らブルースシンガーとして活躍するなど、現在までにブルースの名曲を数多く残したウィリー・ディクソンですが、この曲に関しては、リック・ホールのプロデュースやアレンジの妙が光った楽曲と言えるでしょう。
尚、1968年にリリースされたエタ・ジェイムズのアルバム「テル・ママ」は、まさに、アメリカのアラバマ州マッスルショールズにある、リック・ホールがオーナーを務めたFAMEスタジオでセッションされた作品。
チェスレコードの最盛期を担い、女性看板の1人として屋台骨を支えたエタ・ジェイムズに、再び、勢いとスポットを注ぐべく、当時、注目のアーティストを次々と手掛けてはヒットに導くなど、ノリにノっていたリック・ホールに全権を任せて作り上げられた傑作です。
とくに、2001年に再販されたコンピレーション版「テル・ママ – The Complete Muscle Shoals Sessions」は、紹介の「ファイア」ほか、初版には収録されなかったFAMEスタジオでの多くのセッションがボーナストラックとして収められており、R&B/ソウルファンにとって垂涎となる、お宝アルバムとなっています。
興味のある方は、ぜひ一聴してみてください。