「ゲッティン・イン・ザ・ムード」(原題: In The Mood )は、米国のジャズトランペッター、ウィンギー・マノーン(Wingy Manone)率いる「ウィンギー・マノーン楽団」が1930年にリリースした「Tar Paper Stomp」という楽曲がベースとなっていると言われています。
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1938年にリリースされた「エドガー・ヘイズ楽団」(Edgar Hayes and His Orchestra)のバージョンでは、米国のサックス奏者で作曲家でもあったジョー・ガーランドによってアレンジされ、タイトルも現行の「イン・ザ・ムード」(In The Mood)となりました。
現在、一般的に周知されている「イン・ザ・ムード」の雰囲気が、ここで作られていることが聞いて取れます。
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この現行の「イン・ザ・ムード」のベースにもなっているアレンジを手掛けたジョー・ガーランドは、当時、名を挙げていたクラリネット奏者”アーティ・ショウ”に勧めるものの、当初リリースまでには至らず、1939年にグレン・ミラーが率いたバンド「グレン・ミラー楽団」(Glenn Miller and His Orchestra)によってリリースされることとなります。
すると、この「グレン・ミラー楽団」のバージョンは、13週にも渡ってチャート1位を獲得するという世界的な大ヒットを記録。
正直、個人的には特別優れているベターなものだとは思いませんが、やはり、一般的には「イン・ザ・ムード」といえば、グレン・ミラーという名前が出てくるのは、このためです。
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1941年には、グレン・ミラー自身も主演の1人として出演した映画「銀嶺セレナーデ」に使用されるなど、まさに名実共にグレン・ミラーを代表する楽曲となりました。
また、歌詞が米国の作詞家アンディ・ラザフによって追加され、ボーカルバージョンとして、グレン・ミラーのリリース同年となる1939年に「ザ・フォー・キング・シスターズ」(The Four King Sisters)がヒットさせています。
以降も「イン・ザ・ムード」は、インストゥルメントバージョン、ボーカルバージョン共に、さまざまなアーティストにカヴァーされ続けています。
ここでピックアップしたものは、ブライアン・セッツァーが率いる「ブライアン・セッツァー・オーケストラ」のバージョン。
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2000年にリリースされたアルバム「ヴァヴーム!」に収録され、シングルカットにもなりました。
ジョー・ガーランドによってアレンジされた、エドガー・ヘイズ楽団やグレン・ミラー楽団の「イン・ザ・ムード」をベースに発展させたスタイルで、タイトルも「(Gettin’ )In The Mood」とアレンジされ、オーケストラの切れ味のよい贅沢なホーンセクションに加え、ブライアン・セッツァーのロカビリー&ロックンロールフィーリングがノリを一層向上させている、良いアレンジ、カヴァーとなっています。
「ゲッティン・イン・ザ・ムード」の収録されたアルバム「ヴァヴーム!」は、ポップでゴージャスなノリの良い楽曲が多く、ブギーなフィーリングが好きな人には、おすすめのアルバムです。
ブライアン・セッツァーは、1980年代には自身がギターボーカルを務める3ピースのロックンロールバンド「ストレイキャッツ」で人気を博しましたが、1990年代に入ると一転、大所帯のビッグバンド「ブライアン・セッツァー・オーケストラ」を率いて人気を獲得しています。
また、「ブライアン・セッツァー・オーケストラ」がリリースした、クリスマスのためのコンピレーションアルバム「Dig That Crazy Christmas」や「The Best of Collection – Christmas Rocks! 」にも「ゲッティン・イン・ザ・ムード」はアレンジされて収録されています。
タイトルは“Gettin’ in the Mood (For Christmas)” になっています。
紹介の楽曲「イン・ザ・ムード」は、現在でも、CMやメディアにも度々使用される名曲。
前述の映画「銀嶺セレナーデ」のほかにも、グレン・ミラーの生涯を描いた伝記映画「グレン・ミラー物語」
マーロン・ブランド、エリザベス・テイラー主演。映画「禁じられた情事の森」(原題 : Reflections in a Golden Eye )
ロバート・レッドフォード、バーブラ・ストライサンド主演「追憶」(原題 : The Way We Were )
1978年の映画「ブリンクス」(原題 : The Brink’s Job )
1979年の映画「マリア・ブラウンの結婚」(原題 : Die Ehe der Maria Braun)
スティーブン・スピルバーグ監督が手掛けた実験的コメディ。三船敏郎も出演の映画「1941」
ナスターシャ・キンスキー主演のラブロマンス。1984年の映画「マリアの恋人」(原題 : Maria’s Lovers)
少年”ジョー”の目を通し、古きよきアメリカの姿を、当時のヒット曲をバックに描く。ウディ・アレン監督の自伝的作品。1984年の映画「ラジオ・デイズ」
1987年の映画「戦場の小さな天使たち」(原題 : Hope and Glory)
メラニー・グリフィス/マイケル・ダグラス主演。愛する男のため、女スパイとなった女性の恋と運命を描いたサスペンス・アクション! 1992年の映画「嵐の中で輝いて」(原題 : Shining Through)
エディ・マーフィがひとり7役を務めたコメディ映画。1996年公開「ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合」(原題 : The Nutty Professor)
リンジー・ローハンが一人二役で双子役に挑戦したロマンティック・コメディ。1998年公開「ファミリー・ゲーム/双子の天使」(原題 : The Parent Trap)
“イタリアの宝石” と称されたモデル出身の美人女優モニカ・ベルッチ主演。アカデミー賞2部門にノミネートした作品。2000年公開「マレーナ」
上野樹里, 貫地谷しほり, 本仮屋ユイカ、ほか出演。サボりの口実に始めたジャズバンド、その魅力に次第に引き込まれていく女子生徒たちの姿を描いた作品。2004年公開「スウィングガールズ」
「プリティ・ウーマン」のゲイリー・マーシャル監督が、ジェシカ・アルバ、キャシー・ベイツ、ジェシカ・ビールほか豪華キャストを迎え、様々な男女15人のバレンタインデーを描くラブストーリー。2010年公開「バレンタインデー」
エリザベス女王の王女時代の実話をサラ・ガドン主演で贈るラブコメディ作品。2015年公開「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出」(原題 : A Royal Night Out )
ティム・バートン監督が贈るファンタジー・アドベンチャー。2016年公開「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」(原題 : Miss Peregrine’s Home for Peculiar Children)
などの映画や番組にも使用されています。
【その他の主なカバーアーティスト】順不同
- ウィンギー・マノーン楽団 (Wingy Manone and His Orchestra)[*Original]
- エドガー・ヘイズ楽団 (Edgar Hayes and His Orchestra)
- グレン・ミラー楽団 (Glenn Miller and His Orchestra)
- ザ・フォー・キング・シスターズ (The Four King Sisters)
- アンドリューズ・シスターズ (The Andrews Sisters)
- ベット・ミドラー (Bette Midler)
- シカゴ (Chicago)
- U.S. エアー・フォース・エアメン・オブ・ノート (U.S. Air Force Airmen Of Note)
- メイナード・ファーガソン (Maynard Ferguson)
- チェット・アトキンス (Chet Atkins)
- BBC・ビッグ・バンド・オーケストラ (BBC Big Band Orchestra)
- 角田健一 ビッグバンド (Tsunoda Kenichi Big Band)
- エル・エー・ビッグバンド (L.A.BIGBAND)
- 奥田宗宏とブルースカイダンスオーケストラ (Okuda Munehiro & Blue Sky Dance Orchestra)
- 寺内タケシとブルージーンズ (Terauch Takeshi & Blue Jeans)
- 熱帯JAZZ楽団 (Tropical Jazz Big Band)
- スウィング・ガールズ (SWING GIRLS)
- ムジカ・ピッコリーノ (Musica Piccolino)
- サーカス (CIRCUS)
- 小野リサ (Ono Lisa)
- ザ・プッピーニ・シスターズ (The Puppini Sisters)
- ペレス・プラード (Perez Prado)・・・ほか